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飯田哲也氏と鎌仲ひとみ氏と自然エネルギー

2011628

宇佐美 保

飯田哲也氏と鎌仲ひとみ氏の共著『今こそ、エネルギーシフト:岩波書店』を読み驚き、感銘を受けましたので、次にその一部を引用させて頂きます。

 

先ずは、“日本は原発技術に於いて、世界をリードしており指導的立場にいる”などと聞かされた記憶がありますが、何と次のお話で腰が抜けてしまうのです。

 

 

……

 鎌伸 そうですね。事故は起こらないんだ、「想定外」なんだと言って、これまで本当にリアリティをもってシミュレーションしてこなかったわけですから。

 飯田 もう少し説明しますと、本の原子力分野において、原子炉内の核計算に使っているソフトウエアは、原子力専用のものですが、日本のメーカーのものは一つもないのです。それは、ソフトを作れるほどのデータの蓄積がない、ということです。

 アメリカなどは、たとえば原子炉が暴走したらどうなるか、と実際に暴走させる実験までやって、内部事象のシミュレーションをしている。やっていいか悪いかは別にして、ですが。だから計算ソフトが作れるのです。

……

 

 

 更に、飯田氏の“さしあたり、四月五日の時点で、福島原発事故の出口戦略として早急に実施すべき次の八点を提言しました”との発言の中に次の一点を掲げさせて頂きます。

 

 

G 東京電力の全賠償責任と原発埋蔵金(約三兆円)の活用

  

 

 東京電力の全賠償責任も原発族に負けずに、菅首相に実行して頂きたいものです。

そして、「原発埋蔵金(約三兆円)」の件を東電は明確にして下さい。

 

 次の、飯田氏の御指摘には又驚かされるのです。

日頃「国益、国益の為!」と言って私達に負担を押し付ける政治家、その後押しをする評論家の方々はどう考えるのでしょうか!?

 

 

「レベル7相当の事故」と原子力安全・保安院が発表しました。その後、原子力安全委員会の委員が、「(レベル7に相当することは)三月二三日時点で把握していた」と発言しました。しかし、その三月の時点では、保安院に対し、危険度レベルの見直しを求めていないのです。「評価は保安院の役割」だから、安全委員会がその見直しを「勧告しなければならないとは考えない」のです。多くの人の健康や被害にかかわる問題に対して、これは、一般的にも国際的にも通用しない、ムラの論理です

 省庁の縦割りの弊害についても、いろいろな場面でよく指摘されることですが、それもそのとおりで、お互いに双方のことについては口も手も出さないという不文律がある。今回は、経産省と保安院の管轄下の事故ですから、文科省管轄の放射線医学総合研究所(放医研)や理化学研究所(理研)なども、被曝者が出れば協力するという程度の姿勢です。とても、国を挙げて最大限の協力といった状態ではありません

 

 

 これでは「国益」ではなく「省益」、ひいては「個人益」ではありませんか!?

更に、驚かされます。

 

 

 逆に、文科省の管轄である高速増殖炉「もんじゅ」の事故の時は、経産省の管轄下の事故ではありませんでしたから、こんな事故を起こすようでは文科省に任せられないとばかりに経産省はプルサーマル計画に突っ走っていく。まさに昔の帝国陸軍と海軍の関係とまったく同じ構図だと言っていいのではないでしょうか。戦艦大和の建造と原発や再処理工場は、世界の現実や自らの状況を見ようとせず、過去の成功体験に浸って巨大技術に走るという点でも同じです。参謀本部が、現場の状況を理解せず無謀な作戦を立てていった、その思考回路も同じで、国民を平気で犠牲にする思考までそりくりです。

 

 

 こんなことが当たり前なのでしょうか!?

622日の夜、「もんじゅ」に関する放送を朝日ニュースター(テレビ朝日の再放送番組)でその一部見ましたが、「もんじゅ」の地元の方々は、原発に関しては押し黙ったままで、まるで、地元の方々全員が魔法をかけられて口が利けなくなってしまっているようでした。

(戦時中に「戦争反対」などと口に出来なかったかのように!

“そんなことを言って「村八分」にあったらとんでもないことだ!”と思われておられるかのようでした)

 次の飯田氏の御指摘の中にある“原子力ムラや電力会社……「歌舞伎」を演じているかのよう”と言うか「映画の一場面」のようでした。

それでも、次の飯田氏の御指摘は重要だと存じます。

 

 

 原子力産業の全体を、責任をもって見る人がおらず、責任をもって見る機関がないのです。さすがに日本でも、原子力安全規制のために、今度こそ独立性の高い機関が必要ではないでしょうか。アメリカの原子力規制委員会(NRCのように、政権交代や霞が関の人事異動などで揺らぐことのない独立性を持つ体制を作ることが不可欠です。その上で、そこに任命される「人」がもっとも重要です。原子力ムラや電力会社の顔色をうかがったり、実質的な安全性は何も審議せず、「歌舞伎」を演じているかのように台本を読み、筋書きどおりに「落としどころ」 に決着する審議会は止めて、自分の双肩に日本の原子力安全が掛かっているという緊張感のある使命感を持った、プロ意識のある「人」を任命する必要があります。

 

 

このように、余りにも辛い現状の中、飯田氏は、“昨年(二〇一〇年)、自然エネルギーのクリーン御三家(風力、太陽光、バイオマス)の、世界での総発電量が、原子力による総発電量を追い越しました”等と、少しの希望を次のように与えて下さいます。

 

 

 飯田 世界全体で見ると、風力発電は毎年三〇パーセントずつ市場を拡大しており、二〇一〇年には原子力発電の半分に当たる二億キロワット弱に達し、あと三〜五年で原子力の三人億キロワットをほぼ追い越すだろうと言われています。日本の場合、過去一〇年は完全に「失われた一〇年」であり、〇・四パーセントから〇・七パーセントへの微増にとどまっているのですが、これからの一〇年はドイツと同じように水力の一〇パーセントを出発点として、自然エネルギーで三〇パーセントを供給することはけっして絵空事ではなく、実現可能性のある数字です。いま二〇〇万キロワットの風力を四〇〇〇万キロワットに増やし、太陽光で八〇〇〇万キロワット、それに地熱と小水力とバイオマスを加えれば、その目標に届きます。……

 

 

 何故このような、飯田氏の発言がもっと新聞テレビから発信されてこないのでしょうか!?

飯田氏は次のようにも語っておられます。

 

 

 現在、世界でもっとも成長している産業分野が、この自然エネルギーの分野です。ですから、安全性や持続可能性という側面からだけでなく、「儲かるから」参入している企業もたくさんある。そういう意味で、日本は、エネルギー政策としても、経済産業政策としても、道を大きく誤ってしまっています

 昨年(二〇一〇年)、自然エネルギーのクリーン御三家(風力、太陽光、バイオマス)の、世界での総発電量が、原子力による総発電量を追い越しました。あと三〜五年で風力だけで原子力を追い抜くと試算できます。原子炉には寿命がありますから、原発の時代は、世界的にみても、終焉を迎えているのです。世界はいま、「第四の革命」と呼ばれるエネルギー革命の渦中にあります。

残念ながら、日本だけはレースに参加できていませんが。

 先日、環境省が日本の風力発電の導入可能量を公表しました。風力だけで、日本の全電力を何倍も超えるポテンシャルを持っている、としかし、残念ながら環境省にはエネルギーに関する権限がまったくない。経産省は、その権限を手放す気は毛頭ないでしょうし、だからこそ、政治の力でそれを突破する必要がある。

 また、地域振興を切実に考えるべきでしょう。石油やガスの購入により、GDPの五パーセントにあたる約二三兆円ものキャッシュが海外に出ていっています(二〇〇八年)。普及すればするほど安くなる地域分散型の自然エネルギーに払えば、それらはその地域への投資となるのです

 

 

 この飯田氏の御見解通りに行けば、「脱原発」も可能となるし、「発電に要するエネルギー」が自然エネルギーで無限なのですから、従来の発電用エネルギー輸入コスト「約二三兆円」も、国内で自由に使えるようになるというのに〜〜〜!

 

 ところが、鎌仲氏は、次のように語っておられます。

……再建しながら日本独自の新しい産業を立ち上げていくように考えるのがいい。ここで日本社会が変わらなかったら、犠牲になった方々が浮かばれないと思います。

 とはいえ、私はそれほど簡単に政界や財界が原子力をあきらめるとは思えないのです。彼らは資本や権力を握っている。メディアも含めて、政・財・メディアの三者がそんなに簡単に自分たちの体質を変えられるとは思えないやはり市民が変わらないと変わらないはずです。

 

 

 悲しい事に“簡単に政界や財界が原子力をあきらめるとは思えない”との鎌仲氏の懸念は、菅バッシング、菅降ろしの動きから、私も同感せざるを得ないのです。

更に、鎌仲氏の懸念は次のようです。

 

 

 鎌仲 まず、今回起きたことの検証をうやむやにしないことが重要です。うやむやにしようとする力はすでに働いている。毎日の原発情報を見ているだけでも、感じませんか。

 

 何しろ、地震が原因だと、全ての原発の設計見直しが必要となり又、「想定外」論を破棄せざるを得なくなる為、福島原発事故の直接的原因が地震であった点がうやむやとなり「津波が原因」が罷り通っています。

 

 更に、飯田氏は、「各電力会社は「不可侵条約」で、できるだけ相互融通しない」との「電力幕藩体制」即ち、9電力会社による「地域独占体制」の弊害を訴えます。

(この「電力幕藩体制」は、独占禁止法違反として、解体されるべきです) 

 

 自然エネルギーの普及と今回の電力危機にかかわって、もう一つきちんと検証しないといけない点があります。それは、今回、少なくとも首都圏の住民全員の知るところとなった、西日本から東日本に一〇〇万キロワットしか送れないという、極めていびつな電力供給体制の問題です。

 これらを単に東日本は五〇ヘルツ、西日本は六〇ヘルツだから、変換装置に限界があるという技術的な問題に接小化してはいけません。……各電力会社は「不可侵条約」で、できるだけ相互融通しないようにしているのです。

 戦後、電力王ともいわれた財界人、松永安左工門が作った電力会社の今の地域独占体制については、「電力幕藩体制」をしいて、それぞれ鎖国的に、他の電力会社とはできるだけ触れ合わないように設備形成を脈々と続けてきました。そのことが、今日の脆弱な電力危機を生んでいます。

 

次に、飯田氏と鎌仲氏は、「全国一体融通の、いわゆる発送電分離」を共々訴えます。

 

 

飯田 それを全国一体融通の、いわゆる発送電分離に持ち込んでいく議論が必要です。

自然エネルギー普及の最大のボトルネックがこの送電線なのです。自然エネルギーを敬遠していて、かつ独占を守りたい電力会社を今のままにしていたら、結局また邪魔されて、来た道に戻ってしまう。発送電分離をいかに実現するかが非常に重要です。

……

 東京電力は事実上の倒産管理会社にして、発送電の切り離しをしていくのが妥当だと思っています

……

 

 鎌仲 送電網自体を、電力会社のものではなく、社会的なインフラなのだという意識で構造改革しなければ、日本社会は変わっていけないですね。

 ヨーロッパは国境に関係なく電力を融通し合っています。……

 飯田 まさに送電線は、高速道路と同じように、全国共通の公共財なのです。その役割を送電線に取り戻すと同時に、エネルギー供給を地域ベースに転換させていくことが必要になります。

……

 

 上掲の談話の中で、飯田氏は次のように語っておられます。

 

東西のヘルツをこの際統一して、どちらも六〇ヘルツにしてしまうという手もありますね。実は六〇ヘルツに変えても、ほとんどの人は困らないのです。いま、大阪から東京に引っ越すのに電気製品を買い換える必要はまったくありません。家電のそれぞれにはインバーターが入っているからです。したがって家庭においてはほぼ一〇〇パーセント、困りません。つまり、変電所ごとに重要な顧客(大口顧客)をチェックしながら六〇ヘルツに切り替えていけばいいのです。

これを機に、全国を六〇ヘルツに統一した新しい送電会社ができるかもしれない。

 

 常々飯田氏の御見解には感服している私ですが、ここでの「全国を六〇ヘルツに統一した新しい送電会社」との飯田氏の御見解には、私は異論を挟みます。

と申しますのは、「送電(特に長距離になったり、入り組んだ場合の)」に関しては、先の拙文≪世界的な発電量は、自然エネルギーが原子力を抜いた(1≫にて紹介させて頂きました北澤宏一氏(科学技術振興機構 理事長)のお話にありますように、「直流」が望ましいのです。

 しかし、「直流」とまでに行かずとも、50ヘルツと60ヘルツとから一方を選択する場合には、より周波数の低い50ヘルツが望ましいのです。

(この件に関しては、拙文≪『コロンブスの電磁気学』増補改訂版の概略≫「11 表皮効果は誤解です」を、更に詳しくは、≪『コロンブスの電磁気学』の要旨(18) 直流送電の交流送電に対する優位性≫を書きましたので、ご参照ください)

 

 

 更に、飯田氏は、次の記述のように「電気エネルギーの地産地消」並びに「電気エネルギー産業の展開」を秋田県で共同研究されておられます。

 

 

飯田 いま、秋田県と一緒に共同研究をしています。そこから見えてくることがたくさんあります。秋田県民四〇万世帯は一世帯当たり二五万円、計一〇〇〇億円の光熱費を毎年支払っているのですが、そのお金はみんな秋田県の外へ出ていっています。さらに言えば、それらのお金は石油代や石炭代としてほとんどが日本国外に出ていってしまう。日本は年に二三兆円もの巨額をエネルギー代として海外に支払っているのです。

一方、秋田県の代表的な農産物である「あきたこまち」の売り上げは、二〇一〇年は一〇〇〇億円でした。つまり、秋田県の人が普段なにげなく使う電気や暖房などで、あきたこまちの売り上げの全額分が県外に流出しているのです。しかし、いま秋田県に風力発電機を一〇〇〇基作る構想があり、その売電だけで約一〇〇〇億円の売り上げになる見込みです。実際に金額を計算すると、地域で自然エネルギーを普及させることには大きなインパクトがある。ただ、そのお金をちゃんと地域に循環させないと、せっかくの利益が東京に流れていってしまう。地域の人たちが地域でお金を回せる構造をつくると、豊かさが地域に広がっていく。そういう構造にしていくのが自然エネルギーのあり方です。

……

 地域はエネルギーを自給した上で、さらに余った電気を売ればいいのです。大都市の人は買うしかありませんが、個人についていえば、屋根の上に太陽光パネルを載せるなどして、自給しながらエネルギーを売っていくことが可能です。それも、太陽光が得意な地域は太陽光、風力が得意な地域は風力と、各地域の特色を生かしながらやっていくと、システム全体に余力が出てきます。インターネットと同じで、どこか一か所に打撃を受けても、システム全体には及ばない。非常に強固なネットワーク型のエネルギー供給システムができるわけです。

 

 

 この飯田氏の「地域はエネルギーを自給した上で、さらに余った電気を売ればいい」との御提案にはやはり「発送電の分離」が、不可欠となるでしょう。

 

 

 次の鎌仲氏のご発言にある「小水力発電」に関しては別文にて触れたいと存じます。

 

 

 鎌仲 私は富山県の出身ですが、北アルプスを擁する富山県は、小水力発電にとても向いています。ですから、太陽光パネルや太陽熱温水器に加えて小水力発電もやっていくのがいいと思う。

そこに経済的な可能性もあると見えてきたときに、全体の構造が変わっていくと思うのです。

 

 

 次の飯田氏、鎌仲氏のご発言にある「老朽化した原発を廃炉」に関しても別文にて考えさせて頂きます。

 

 

 飯田 変わらないといけませんね。今回の事故の後、それでも原子力発電を続けていくのだとすれば、安全性強化のためのコストが今後さらに上昇することは間違いありません。原子炉を廃炉にするにしても莫大な費用がかかります

……

 鎌仲 映画『ミツバナの羽音と地球の回転』の取材でスウェーデンのエネルギー庁長官であるトーマスさんに出会いました。スウェーデンは一九八〇年に国民投票で脱原発を決めています。……

 トーマスさんによれば、確かに今ある一〇基の原発を短期間ですべて廃炉にすることは現実的に無理だと。しかし、原発をこれ以上増やさないし、もし、電力会社が老朽化した原発を廃炉にしたあと再建したいなら禁止はしない。ただし、政府は一切援助しないし、事故の責任は無制限に電力会社が負うことになると。「現実的に再建は無理だろう」とトーマスさんは言っていました。

 

 

 ここでの鎌仲氏がご紹介されるスウェーデン方式「電力会社が老朽化した原発を廃炉にしたあと再建したいなら禁止はしない。ただし、政府は一切援助しないし、事故の責任は無制限に電力会社が負うことになる」を是非日本でも実施して頂きたいものです。

さすれば、日本もスウェーデンと同じ道(脱原発)を歩める筈ですから。

 

 

 鎌仲氏、飯田氏は、又、次のよう続けられます。

 

 

……原発を持っているスウェーデン最大の電力会社、バッテンフォール社自らのホームページに「政府に再生可能エネルギーを増やすように」呼びかけてくださいと書いてあったり、風力やバイオマスなどの電源を選択して電気を買えるようなサービスをしたりもしている。

 消費者が選択することで、社会がより持続可能なエネルギーを増やしていくような仕組みが生きているのです。ドイツは全量買取制度を有効活用して風力発電の市場を大幅に拡大しました

目下、風力発電で世界一のシェアを持ち、そのおかげで新規の雇用が三〇万人も増えたのは有名な話です。

 飯田 全量買取制度は、「世界でもっとも成功した温暖化対策」と呼ばれます奇しくも、今回の大地震と同じ日の午前中に閣議決定されましたから、何か運命めいたものを感じます。この法案は、政局とは関係なく、成立させる必要があります。あとは、価格設定をきっちりすることで、地域分散型の自然エネルギーを爆発的に拡大してゆくことができます。

……

 

 

 ここでの飯田氏の発言に見られる「全量買取制度は、「世界でもっとも成功した温暖化対策」と呼ばれます奇しくも、今回の大地震と同じ日の午前中に閣議決定されました」のように、原発事故前にも提案されている制作に関してまでも、マスコミは菅首相の延命のための場当たり的な政策と「原発推進派」そのものの見解を発信し続けています。

 

 

 

 ここらあたりで私達は、菅首相からの発信を心素直に受け止めてもよいのではないでしょうか!?

例えば「KAN−FULL BLOGのお知らせ」の次の一文です。

2011/06/06 《次の時代》(1):風力発電

 

 政府は今国会に、《次の時代》への大きなステップとなる法案を出しています。その伏線は、今から30年余り前にさかのぼります。

 

 私は国会議員に初当選した1980年の暮れ、多くの市民団体を視察しに、アメリカに出かけました。その一環で、何十種類もの風力発電が試験運転されているウィンド・テスト・センター(デンバー郊外)を訪れました。

 

 「発電された電気はどうするのですか」と聞くと、「送電線に逆送されて、電力会社に売っている」という返事。それなら、自家消費しないときの発電も、有効に活用できます。そこで、帰国して早速、日本でも同じことができないかと取り組みましたが、電力会社による買い取りを制限する「電気事業法」の壁にぶつかってしまいました。

 

 国内でも、科学技術庁(当時)が「風トピア計画」という風力発電の試験プロジェクトを始めたので、私も応援する立場から国会で取り上げました。

三宅島に東電が設置した、2基の大型風力発電機も視察しました。しかし結局、「採算性がない」という結論で、計画は終了してしまいました。

 

 −−−私が初当選して、30年余。この間、風力や太陽光発電は、電力会社からは邪魔者扱いされ、その結果として、せっかく優れた技術を持ちながら本格的な開発ができず、ヨーロッパ諸国に比べて大きく立ち遅れてしまいました。今回の原発事故を契機に、エネルギー基本計画を白紙から見直し、風力や太陽光発電などの自然エネルギーを、《次の時代》の基幹的エネルギーとして育てることにしたいのです。

 

 その為の大きなステップとなるのが、「自然エネルギーによって発電した電気を固定価格で買い取る」という制度です。これが出来れば、新人議員の時に私がぶつかった法の壁は、突破できます。そこで、固定価格買い取り制度の法案を、閣議決定にまで漕ぎ着けました。今年の3月11日のことです。

しかし、その当日に、大震災は起こりました。

 

 このために少し遅くなってしまいましたが、この法案は、今の国会に出しています。この法案を成立させ、早期に採算が取れる水準に価格を設定すれば、風力や太陽光発電は、爆発的に拡大するはずです。

 
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